2015.7.12

ミラノサローネ2015 雑感

生まれてはじめて、ミラノサロネに行ってきました。もうだいぶ時間が経ってしまったのですが、その時の感想を記しておこうと思います。

長年の想像通りミラノサローネは、世界中のデザイナーやデザインに係る人々で溢れていて、デザインを見るという意味ではほんとうに素晴らしいところでした。見たことのない造形的なアプローチ、アイデアの斬新さ、さまざまな素材の使い方など、滞在中は毎日新しいアイデアに出会ったり、創造的な刺激を受けました。そして、なによりも街歩きの合間のイタリア料理、ジェラートやエスプレッソがとても美味しかったです。

一方で、千社以上が参加する世界で一番大きな家具の展示会であるミラノサローネを通して、資本主義社会の縮図をみるような気がしました。遠くの国でびっくりするほど安く家具や照明器具を生産して、世界中に販売するグローバル企業とか。なんとかして新たな購買欲を引き出そうと、新しいものを提案するデザイナーとか。完全に富裕層向けの家具ブランドとか。ひとつひとつのデザインが包摂される社会的な背景を見ていくと複雑な心境になってしまいました。

20世紀の資本主義がめざした「大量生産、大量消費」を通して、「デザインをすべての人に」という目標に変わるなにかのヒントがないか、ミラノで探していました。成熟充足した、環境に付加をかけることなく、縮小しながら均衡する社会でのものづくりについて、なかなか答えはみつかりそうにないです。家具についてはグローバル化するイタリアですが、自分たちの食べるものについては、とても保守的だと思いました。イタリア料理以外の料理屋さんがすごく少ないし、スターバックスもないし、コンビニもありませんでした。さすがはスローフード発祥の地です。なるべく顔の見える人から食べ物を買ったり、オーガニックな食材に価値を見いだしたり、その辺にヒントがあるような気もします。

Milan Salone 2015